『朝鮮儒教の二千年』 姜在彦 著 (講談社学術文庫)

2012.09.09 08:41|その他
珍しく書籍の紹介。

夏休みにちくちく読んだこの分厚い文庫本、表題の堅苦しさのわりには思いがけず(失礼)、面白かったです。
紹介文によると、
「朝鮮における儒教の二千年にも及ぶ展開を丹念に描き出し・・中国・日本と対比しながら二千年を俯瞰する視覚は。朝鮮の独自性と東アジアの普遍性を浮き彫りにする・・」

・・と、まあ難しいものなんですが・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
長年見てきた韓国ドラマで、「儒教の優等生」朝鮮・韓国で、社会に儒教が深く根付いてるさまを実感してきたけど、この本であらためて二千年という気の遠くなる時間、儒教がひとびとの精神だけではなく実際の政治の場でも支柱になってきた経過を知るのは、興味深かったです。

たくさんの儒学者の名前がでてきたり教義や流派の話もでてきて、そこらへんはさらっと読み飛ばしているので、正直言いますと、読了した、とはとても言えないんですけどね。

いくつか面白かったところをあげますと・・

よく歴史ドラマで描かれる李氏朝鮮時代の権力闘争やらクーデターやらの政争のあれこれ。
それらも時どきの政権のなかでの儒教(や仏教)の学派の抗争とからめて説明されていて、うーむ、そういうことだったのか、と納得できることも多かったです。

でもこの筆者のかたは、意外にも、ドラマでは悪評ふんぷんの、7代世祖(首陽大君)への評価が高くて、3代世宗の数々の文化事業を完成させたのも「経世済民」という本来そうあるべき政治をやろうとしたのも彼だった、と表してました。
王位につくとき、幼い王から王位を簒奪したということで、「王女の男」でも極悪人として描かれた人なんですが。

もうひとり、光海君についても高評価でしたね。
落ち目の「明」ではなくのちの「清」となる「後金」通じたのは、豊臣秀吉の侵略のときに助けてくれた明への裏切り行為だ、としてクーデターでひきずりおろされた王。
しかし筆者は、国家の存続のために難しい選択をした光海君に好意的で、恩だの義理だの至誠だの、教条的な儒教精神だけでは国はもたない、と言いたいようでした。

もうひとつ。
前から不思議におもっていた朝鮮時代中期以後、ドラマでも延々とくりかえされる派閥抗争。
西人だの南人だの・・・何を目的に何をしたくて争っているのかが全然わからなかったのだけれど、
どうやら、具体的な政治問題やら外交問題やらで対立していたわけでなくて、イデオロギーが煮詰まりすぎて理論上の対立が先鋭化して、じっさいはものすごくささいなことでもめていたらしい。
たとえば王が亡くなったときの服喪期間を何年にするか、とか。

正直、生産性のない不毛な時代だったのね、と思ってしまった・・。
筆者も、政治家がすべて儒者で、軍事や実学を下にみる風土が社会の発展にはマイナスだった、と言いたいようでした。


朝鮮時代だけではなく、そのまえの高麗、もっとさかのぼって三国時代なども、儒教の受け入れられかたを通じて当時の政治や外交の話、歴史上の人物も多数言及されています。
なじみの名前も出てくるので、(ややこしいところはすっとばしても←またまた失礼!)それなりに面白いです。

少し涼しくなって、秋の夜長、読書する気になったときにいかがでしょうか。


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Comment

No title

ご無沙汰してます。
儒教の話、読んでみると現代までに通じる韓国社会の仕組みの屋台骨や発想の原点が分かって面白いかもしれませんね。たしか、韓国の儒教は老子のほうではなく、朱子学のほうだと聞いたことがあります。
朱子学の方が、理屈をこねるのでややこしいと(苦笑)

トキメキ成均館なんて、まさに「○○派」の学閥の争いでしたねえ、そう言えば。

面白そうなご本の紹介、コマスミダ〜。

秋さんへ

お久しぶりです。

ものすごく学術的な内容かと思いきや、政治や外交など、時どきの事件も分かりやすく説明してくれている本でした。
(^O^)/

そうそう、朱子学なんです。!(^^)!
とくに朝鮮後期、士林派というのがガチガチらしくて、融通が全然聞かず、細かく差異化、先鋭化していったらしいですね。

韓国ドラマにハマらなければ決して読まなかった本ですワ。(笑)

鎖国してたはずの徳川幕府が、それなりに朝鮮と交流があったとか、
知らなかった知識も得られてお得な本でした。
(^^ゞ
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