複雑でとても繊細だけど非常に面白い秀作ドラマでした。
ジャンルとしては検察ミステリーになるのでしょうが、登場人物の描かれ方がとても多面的で、人間ドラマとしてみても秀逸でした。
検察と政財界の癒着というテーマは、韓ドラでも近年よく扱われているけど、ステレオタイプな正義感検事と悪とのアニメ的な戦いにせずに、問題と「リアルに」格闘する職業人たちを細密に描いていました。
若くて目の保養になる男優さんは一人も出てなくて、ひたすら絵面は地味なんですが。

ドラマにあまり出ないチョ・スンウとペ・ドゥナが主演というだけで渋好みなドラマだとわかるのですが、内容もさらに渋いものでした。笑
星評価は、
★★★★★ストーリーのなかにある種々の反転がみどころでもあるので、ストーリーには極力触れずネタバレを避けて感想をすこし。

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事件としては終盤まで2件しか起こらないのに、12話までは視聴者もだれが犯人なのか五里霧中状態におかれるので、非常に息苦しいドラマでした。
あとになって思い返すと、いろんなヒントが撒かれてなかったわけではないのですが、登場人物の言動が本心からのものなのかわからないことが多いので(実世界のリアルな人間もいろんな思惑を抱えてそういう振る舞いをしがちですが)、なかなか真相に迫れないというか・・・。
主人公のとても鋭利な頭脳をもつ検事でさえ、いろんな推測ミス、判断ミスがあり取り返しのつかない結果も招きます。
最終盤にきてやっと全体の絵が見えてくるという、ミステリーとしてとても緻密で上質なものでした。
終わりかたとしては、溜飲が下がるサイダーエンディング、というわけではなかったですが、現実との折り合いを考えればこれぐらいでもベストだったのかも。

記事なども絶賛されてましたが、検察庁の組織の論理や、そのなかの人間関係、検事たちの言動などがとてもリアルに描写されていたのが驚きで、作家さんがよほど綿密に取材をしたのだろうな、と思いました。
ちなみに脚本はイ・スヨンというひとで、新人作家だそうです。びっくり!

さらに、このドラマのオリジナルなところは主役のキャラクター設定。
脳手術の後遺症で、感情がない検事ファン・シモク(チョ・スンウ)。
客観的な捜査を進めるという意味ではこの職業にぴったりの性格なので、超優秀な検事です。
前半では、彼の空気を読まないふるまいが巧まざるユーモアを醸し出して、シリアスなドラマのなかで息抜き的に笑えました。
とくに、コンビを組むことになる女刑事ハン・ヨジン(ペ・ドゥナ)とのなんでもないやりとりがくすっと笑えたり、不意にこちらの泣きのツボを刺激したり、ドラマの見どころのひとつでした。このふたりはやはり上手い!
ほかの人物を演じる俳優それぞれも素晴らしかったです。
イ主席秘書官(このひとドラマのなかで肩書きが変わりまくりました。

)役のユ・ジェミョン、その妻役のユン・セア、ユン課長役のイ・ギュヒョン(ドラマでみたことない俳優でとても新鮮でした)、安定の悪役イ・ギョンヨン、救いようのない検事

イ・ジュニョクなどなど。
とくに、シモクの部下の女検事を演じたシン・ヘソンが印象にのこりました。
この女優さん、パク・ボヨンの「幽霊さま」や「青い海の伝説」にも出てましたね。
そのときはとくに印象的ではなかったけど。
今回の役柄は、最初は、ごくふつうの優等生のお嬢さん検事のように見えて、実は強い目的意識と不安定さをあわせもっている、なかなか難しい役柄だったと思うのですが、とてもいい演技でした。
私は後半になって、Netflixで、本国放映の直後に日本語字幕付きでみられると聞いて、そこで見たのですが、日本語がついてもなかなか理解するのが難しいドラマでした・・・。
時間があれば、もう一度1話からみて、いろいろまかれたヒントがどう回収されていったのかをチェックして見たいぐらいです。
のんびり見る・・というわけにはいかなくて、見る方にも集中力がいりますが、
見て絶対損はしないドラマです。夏休み中にいかがでしょう?オススメです。
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